不妊症

当院では1996年10月から2000年4月に山王病院(旧リプロダクションセンター)からの難治性不妊症患者74名に対して内科的レーザー治療を行い、16名の方が妊娠されました。
アザなどの除去に使用する組織を破壊する外科的レーザー治療と違い、内科的レーザー治療で組織を活性化することにより、卵の成育を良くしたり、子宮内膜の成育を良くすることで、今まで体外受精や人工授精を行ってもなかなか妊娠しなかった方々が妊娠するようになりました。

不妊症の種類と原因

不妊とは通常の夫婦生活を送って2年の間に妊娠が認められない状態をいいます。 女性側の原因としては排卵障害、卵管障害、着床不全等があり男性側の原因としては精子数、運動率の低下等があげられます。「 内科的レーザー治療(LLLT)」で血行を改善し、男女ともに妊娠しやすい状態にすることができます。
「女性不妊」の原因としては、卵巣、卵管、子宮のそれぞれの形態や機能の異常に伴う排卵障害、卵管通過障害や着床不全などがあげられ、さらに中枢ではホルモン内分泌異常やその他染色体、遺伝子異常免疫異常などの種々の可能性が考えられます。
「男性不妊」では、ED(勃起機能不全)から造精機能異常に伴う精子数減少、運動率低下、奇形率増加などがあげられます。
不妊専門のクリニックではこのような状況下でも妊娠が成立するよう様々な治療を行っていますが、必ずしも原因を取り除いたり、良くしたりする治療ではないことも事実です。

治療方法

「レーザー治療」というと一般的には腹腔鏡手術などに用いるレーザーメスを思い浮かべる方が多いと思いますが、不妊の場合、弱いレーザーを使用し、身体に傷つけることのない 内科的レーザー治療(LLLT)を行っています。
治療は、1回約30分程です。頚部からレーザー照射を始め、まず脳(体の全てを支配するコンピュータ)の血流を良くしてから、順次、胸部、腹部と治療を進めます。
治療に用いるレーザーは、近赤外線領域という、私達が日常浴びている光のひとつであり、大きな副作用の報告はありません。また、各種安全基準の元、治療用レーザーとして厚生労働省(当時・厚生省)の承認を得た機器を使用しているので、安心して治療を受けて頂けます。治療の効果は、直後から実感いただけることが多いようです。
週1~2回のペースで数週間続けると“体の冷えが少なくなった”、“生理痛が軽くなった”など、恒常的に血行が改善された状態になります。その結果、110名の赤ちゃんが無事誕生しました。(2022年2月現在)
内科的レーザー治療(LLLT)で全身状能を良くし、妊娠の可能性を上げることは、産婦人科への不妊治療通院期間の短縮を図り、費用負担の軽減にもつながるでしょう。