マンスリートピックス

大城クリニックでは、患者さまに役立つ情報を提供するために マンスリートピックスを紹介していきます。

 “血管腫(赤アザ)”を知る -治療に大切なこと-

 “血管腫”、俗に“赤アザ”と呼ばれる病変には、様々な種類があります。日本では、古くから形態学的な分類がなされてきました。簡単に言えば、形状、見た目による分類で、“いちご状血管腫”、“単純性血管腫”、“海綿状血管腫”などがその例です。一方、国際的には、1996年に血管奇形の国際会議(International Society for the Study of Vascular Anomalies)で承認された『ISSVAの分類』というものがあります。これは、日本でいう広義の“血管腫(赤アザ)”を 「hemangioma(血管腫)」と「vascular malformation(血管奇形)」に分類して、どのような種類の血管の、どの部位に異常があるかを明らかに示したものです。

 『ISSVA の分類』では、「hemangioma(血管腫)」を、「生後1ヶ月ぐらいで急速な増殖を示し、5~8歳頃までに退縮するもの」と定義し、また「vascular malformation(血管奇形)」を、「出生時より存在し、著しい増殖傾向を示さないもので、自然経過で退縮しないもの」と定義して、「異常をきた した血管の種類(動脈、静脈、リンパ管、毛細血管など)によって所見が異なるのが特徴」であるとしています。この分類に従えば、日本でいう“いちご状血管 腫”は「hemangioma(血管腫)」に、“単純性血管腫”や“海綿状血管腫”は「vascular malformation(血管奇形)」に分類されます。

 この国際分類は、治療を考える上では非常にわかりやすいのですが、日本では赤アザを専門に扱っている医療機関が少ないので、あまり一般的には用いられていないようです。現在、広く診断で用いられている“血管腫(赤アザ)”という言葉は、病変部の解釈としては非常に曖昧な点が多く、不明瞭であるのが実情です。そのような曖昧さをきちんと認識していないと、治療によくない影響を与えてしまう場合もあるでしょう。

 治療にあたっては、形態学的に考えるよりも、『ISSVAの分類』のように“どの部位に異常があるのか”を考えて診断することが重要です。赤アザの治療では、レーザーによる治療が大変有効ですが、一言でレーザーといっても、血管性病変に用いられるレーザーだけでも、3~5種類ありますので、病変の主体がどこにあるのかを診断した上で適切な治療機器を選択することが重要となってきます。
 
 例えば、“単純性血管腫”は、本来は真皮表層にある毛細血管や細静脈(細い静脈)を主体に血管拡張が起こっているので、“毛細血管性血管奇形”と表現したほうが、病状はもちろん、治療の方向性も明確になります。どのような治療を行うかが、患者様にもご理解いただきやすくなるでしょう。

 40年以上赤アザに取り組んで来た実績と経験をもつ当クリニックでは、このわかりにくい血管腫で悩まれている患者様のために、「血管腫外来」を開設しております。“血管腫(赤アザ)”とはどういうものか、またどの治療器を用いるべきかなどを詳しくお話し、患者様の疑問にもお答えできるような体制を整えております。赤アザでお悩みの患者様がいらっしゃいましたら、ぜひ一度カウンセリングにお越しください。

 

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